AIに、そして人に選ばれるための「新・SEO戦略」

ここ数年、ChatGPTやGeminiをはじめとする「生成AI」の進化は、とても目覚ましいものがあります。
僕自身、日々の業務でAIを使わない日はありませんし、もはや「AIなしの仕事」は考えられないほどです。
そんな中、時々こんな声を聞くことがあります。
「AIに聞けば何でも答えてくれる時代。これからは、わざわざGoogleで検索なんてしなくなる。SEOなんていらなくなる」
確かに僕自身、検索エンジンを開いて “単純にものを調べること” は減りましたし、Googleの持つビッグデータ(キーワードごとの検索ボリューム)が、業界問わず減少していることは事実です。
しかし結論から申し上げると、AI時代だからこそ、SEO(ウェブ集客)の重要性は「むしろ高まっている」といえ、それは業界に精通する者であれば、誰もが口を揃えて言っていることです。
ただし(ここが重要なのですが)、これまでと同じやり方は通用しません。
検索エンジンの高精度化によって、SEOが注目を集め始めた時代と同様、もしくはそれ以上のスピードとインパクトで、業界のルールは劇的に変化しようとしています。
「もうダメだ」と早合点をして撤退していく事業者と、ここでぐっと濃度を高め、他社を押し退けさらに圧倒的な強さを堅持していくビジネスと。その分岐点に当たるのが、ここからの数年になるだろうと予測しています。
今回は、創業から20年、ウェブの変遷を見続けてきた立場から、「なぜAI時代にSEOがより重要になるのか」、そしてその文脈をもとに「これからの企業が取るべきウェブ戦略」について、少し深掘りしてお話ししたいと思います。
「SEOがオワコン」と感じる。その感覚の正体とは?
まず、なぜ多くの方にとって「SEOはもう不要」と感じてしまうのか。
その背景には、大きく③つの「思考の落とし穴」があると思います。
①「自分が検索しなくなった」という実感
これが最も大きな理由でしょう。確かに「天気を知りたい」「言葉の意味を調べたい」といった単純な疑問なら、AIに聞いた方が早い。わざわざ検索結果をクリックして、広告だらけのサイトを見る必要はありません。
「自分がそうしているのだから、自社の顧客もそうするはずだ」
この感覚は半分正しいですが、本質ではありません。それはあくまで「情報収集」のフェーズに限った話で、その先に待つ「契約」や「検討」にはまったく当てはまらず、そこを混同して考えてしまうことが、わかりやすい落とし穴の一つだと思います。
②「AIは賢いから勝手に見つけてくれる」という誤解
これは、ビジネスをされている方にはあまり当てはまらないかも知れませんが、でも実際「ウチは良い商品を作っている。AIは賢いから、ネット上のどこかから勝手にウチを見つけて、お客さんに紹介してくれるだろう」そんな経営者もおられるようです。
言うまでもなく、これも大きな誤解です。AIは魔法使いではありません。ネット上に「テキストデータ」として正しく構造化された情報がなければ、AIにとってその企業は「存在しない」のと同じ。それは、これまでの検索エンジンとビジネスの関係、そのものと言えます。
③「キーワード検索が終わる=SEOが終わる」という図式
冒頭にも申し上げた通り、検索エンジンを開いて “単純にものを調べる時代” は終わりつつあります。これからの時代、「このエリアで一番信頼できる業者はどこ?」のような会話形式で、ユーザーが事業者にタッチポイントを求めて来る時代です。
つまり、「AIに文脈を理解させる高度なSEO」が必要になっていくことを意味しています。SEOの「定義」が大きく変わろうとしているのです。
AIに、そして人に選ばれるための「新・SEO戦略」
これまでのSEOは、言わば「検索エンジンの裏をかくゲーム」のような側面がありました。
目的とするキーワードをページ内に何パーセント入れるか、ページの総数やサイト構造は、検索エンジンの好むものになっているか、有益なリンクをどれだけ集められるか。
しかし、AI時代のSEOは違います。これを専門的には「GEO(Generative Engine Optimization:生成AIエンジン最適化)」と呼ぶ動きもありますが、流行りに乗った言葉が出てきただけで、本質はこれまで以上にシンプルです。
それは、「AIに信頼できる情報の『引用元』として選ばれること」
これが新しいSEOの “ゴール” であり、そこを通して人に選んでもらうための “スタート地点” になります。
ユーザーが検索エンジンに質問をしたとき、裏にいるAIは、ネット上の情報を要約して回答を作ります。そのとき、「この情報はどこから持ってきたのか?」というソース(情報源)として、貴社のサイトが選ばれるかどうか。ここにビジネスの勝機があります。
加えて、AIは嘘をつくこと(ハルシネーション)を起こすことも良く知られています。だからこそ検索エンジンも、「情報の正確性」や「誰が言っているか(権威性)」をこれまで以上に重視するようになっているのです。
上記の理由から、素人の量産した適当な “まとめ記事” は淘汰されるでしょう。その逆に「実在する企業の、専門家としての一次情報」が、AIにとっての「良質な教科書」として重宝される時代が来ています。
なぜ「コーポレートサイト」はなくならないのか?
「でも、AIが完璧に答えてくれたら、結局サイトには来ないんじゃない?」
そう思われるかもしれません。
しかし、ビジネスの現場、特にお金が動く場面を想像してみてください。
例えば、貴方が会社の基幹システムを導入するとします。
AIに「おすすめのシステムは?」と聞き、いくつか候補が出たとしましょう。
「AIが勧めたから」という理由だけで、公式サイトも確認せず、担当者の顔も見ずに、即座に契約をしますか?しませんよね。
*「本当に実在する会社なのか?」
*「ちゃんと活動して、いまも動いている会社か?」
*「代表者はどんな考えを持っているのか?」
*「社内環境や設備はどうか?」
人は最終的な意思決定(契約・購入・予約・採用)の直前には、必ず「裏取り」をします。その受け皿となるのが公式サイトであり、そこへ導くためのSEOである。そのことは、これまでと変わることはありません。
「AIで知って、公式サイトで確認し、契約する」
この新しい動線の中で、公式サイトの役割は「情報の羅列」から「信頼の完結(クロージング)」へとシフトしています。ビジネスにとってSEOが “より重要になる” というのは、こういった観点からです。
僕たちが提案する、これからの「戦い方」
では、具体的に何をすればいいのでしょうか。
「キーワードを埋め込む」「記事を量産する」といった古いSEOは忘れてください。
これから重要なのは、以下の③点です。
①「一次情報」の発信
AIは、どこかのサイトのコピー&ペーストで作られた記事を評価しません。
「実際にやってみた」「現場でこんな声を聞いた」「独自の調査結果」といった、貴社にしか書けないオリジナルの体験・情報こそが、AIにも人間にも評価される最強のコンテンツです。
②E-E-A-T(信頼性)の強化
E-E-A-T(イーイーエーティー)とは、Googleがウェブサイトやコンテンツの品質を評価する基準で、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字を取ったものです。
「誰が書いているか」が重要で、匿名のアフィリエイターではなく、「長年その事業を営んでいるプロ」が発信する情報であること。これをプロフィールページや構造化データなどで、AIに正しく伝える技術がより重要になります。
③「指名検索」されるブランド作り
これこそが、僕たちの目指す「新しい時代のSEO」です。
AIが返すアンサーのなかで、「〇〇について知りたいなら、このサイトを見るといいよ」と自社の社名やサービス名を紹介してくれる状態を目指すこと。
そのためには、ウェブ上のテクニックだけでなく、リアルな場での活動やSNSも含めたトータルなブランディングが必須となります。小手先のテクニックや、金さえ出せば実現できるSEOの時代は完全に終わりました。
まとめ:“ウェブとリアル” 両輪で実現する、より豊かな人生
僕たちは、「小さなホームページ制作会社」として20年、お客様と共に歩んできました。
起業当初から、「いずれ、どの会社や組織でも、ウェブマーケティングが必須になる時代が来る」と豪語していましたが、いま正に「そうした時代」になっているのは言うまでもないことだと思います。
そしてこれからのAI時代において、手に触れ肌で感じる “リアルの価値” が高まっていきます。僕たちが「シェア型書店 HONBAKO」を立ち上げ、堺本店・京都宇治・北堀江で、300人の“本好きコミュニティ”を組織したのは、そういった時代背景を先読みしてのことです。
AIはめちゃくちゃ賢いですが、現場の空気を感じたり、お客様と触れ合うことはできません。自社が日々現場で積み重ねている「泥臭いリアルな経験」や「お客様との対話」。それらをウェブコンテンツとして丁寧に言語化し、発信すること。それが、AIには決して真似できない独自の強みになります。
テクニックだけのSEO業者は淘汰されるでしょう。しかし、本質的な価値を伝えるパートナーとしてのウェブ制作会社の役割は、より重要になると確信しています。
